学習・入試情報

2021年11月

都立高校の男女で合格最低点が違う問題について

今年も入試が迫ってきましたね。
今年は高校入試の都立高校における男女で合格最低点が違う問題がネットで取り沙汰され、改善されるかと思いきや、全く改善されませんでした。
現在、ほんの僅かな学校で、男女枠緩和制度が導入され、9割を男女枠を設けて合否を決め、残りの1割は男女枠関係なしで選ぶ事にしています。
この残りの1割はほぼ女子でしょうから、単純に女子の定員が増えましたよ、と言う話です。

そもそも、どの様な問題なのか、と言うと、東京都の都立高校では、男女別に定員が設けられ、男女別に倍率が異なります。
押し並べて女子の方が倍率が高く、そのため、女子の方が合格最低点が上がってしまう、と言うわけです。
ちなみに、こんな制度が存在するのは、東京都だけです。

ここで、意外に語られていない点があります。
偏差値が70近辺になってくると、合格最低点は男女同じになります。

そこで、偏差値により男女別倍率にどの様な変化が起こるのか、興味を持ち、推論してみました。
なんと、東京都には男女別に枠を設けていない素晴らしい学校が存在します。
具体的に
新宿 墨田川 国分寺 美原 芦花 大泉桜 飛鳥 板橋 忍岡 翔陽 上水
です。
ここの男女比を偏差値別に見ていけば、何かが見えてくるのではないでしょうか。
新宿高校 偏差値69
令和3年の合格者は
男子142 女子146
ほぼ同じです。

国分寺高校 偏差値67
男子130 女子127
ほぼ同じです。

隅田川高校 偏差値60 
2021年7月の生徒数
男子364名 女子535名(2021年7月現在)
圧倒的に女子が多いです。

芦花高校 偏差値54
2012年6月の生徒数
男子230名 女子597名(2021年6月現在)
非常に女子が多いです。

美原高校 偏差値47
男子313名 女子384名(2019年6月現在)
なんとここで男子が増えてきます。

板橋高校 偏差値44
男子427名 女子388名(2021年4月現在)
なんと逆転し、男子の方が多いです。


ここから見えてくる事は、男子は成績が個人によって差が大きく、女子は差が少ない、と言うことではないでしょうか。
それは、私が普段教えていて、感じる事でもあります。

仮に、都立高校において入試男女枠が取り払われれば、何が起きるのでしょうか。
それは、例えば大阪の高校生の男女比を見れば分かります。
上記の芥川高校は偏差値50です。
平均レベルなので、女子の方が多いです。
和泉総合高校は偏差値39なので男子の方が多いです。
男女比を見れば、偏差値的に平均的な学校なのかどうなのか、は見えてきます。
最上位の北野高校は
男子592名 女子403名(2020年5月現在)
となっています。
日本の高校入試においては、成績下位層は男子が占め、成績中位層は女子で、成績上位はほぼ男女同じだが、最上位層において男子が多い、と言う印象でしょうか。
ちなみに、世界最高峰の大学はアジア圏では男子が多く、欧米ではほぼ同数となる様です。


世界最高峰の大学で男女平等の比率となるのは、男女による様々な制約が取り払われた結果であり、日本の高校入試も様々な制約が取り払われれば、最上位校での男女の比率は同じになるのかもしれません。
男女について散々書いて参りましたが、入試を男女別で考えるのはそもそもナンセンスであり、単純に能力主義になるべきだと思います。
東京都の都立高校の男女で合格最低点が違う問題については、日本の現在の問題点を象徴している様に思います。

2025年3月追記
昨年度より、都立高校の男女枠は完全に撤廃となっています。
これにより、偏差値中〜上位の多くの学校で女子の方が比率が高くなっております。
最上位になると、均等になる様です。偏差値中〜上位の学校が不合格となってしまった男子は私立に流れたと考えられます。
しかし、今年から高校無償化が行われ、私立人気が高まり、高校入試はまた色々な変化がありそうです。